ヒコーキ雲に見とれて
数週まえの、
青空のきれいに広がった日の話。
モーさんたちと道を歩いていて
ふと空を見たら、
すばらしく見事な飛行機雲が
空を横断していくのを見つけた。
つい見とれていたら、
車きてるのにそのまま通りを渡ろうとしたらしい。
「こらっ!!あぶないって!!
渡るとき余計なもん見ちゃダメ!!
そんなことしてると轢かれて死ぬよっ。」
と、モーコに怒られた。
あぶないあぶない。気をつけねば。
そう思いつつ、道を渡りきってふと振り返ると、
同じところを幼稚園くらいの少年を連れたお母さんが
横断しているところだった。
少年は道の途中で立ち止まる。
彼も空を見て
ヒコーキ雲を見つけちゃったのだ。
お母さんはイライラした感じで
グイグイ少年の手を引っ張って前に進もうとする。
少年はヒコーキ雲の存在をお母さんに教えようとしてるらしい。
上気した顔でなんか言いながら
もう一方の手で上を指してバタバタしている。
「ここ道の真ん中でしょっ!!
いい加減にしなさいっ!!」
お母さん、いきなり切れた。
少年の手首をつかんでグイグイ道を渡りきり、、
ヒコーキ雲に未だ見とれているバカなオトナ(ワタシ)を
腰でバスッっと突き飛ばしながら少年を引きずり
早足でズンズンと歩き去っていった。
(いてー)
引っ張られていく少年はもう空を見ていなかった。
地面の方を向きながら
お母さんに引きずられて行った。
ふううーー。
ワタシはなんとなく苦しいようなきぶんになって
地面を見ながら引きずられていく少年と見事に描かれた空の白い直線とを
交互に見ながら突っ立っていた。
「こらっ!!置いてくよっ」
モーさんが呼んでいる。
へーーい、ただいま。今行きまぁぁす。